柔軟な対応ができるようになろう

介護の現場では、認知症の人への声かけ等において、介護士それぞれが独自の関わり方をとっています。
介護士は、一人ひとりが自分の経験をもとに仕事をしており、そこには個人の性格が色濃く反映されています。その為、他の人から見ると普通では真似できない関わり方と映ることもあり、時には違和感を覚えたりするようです。
一口に「声かけ」といっても、場面に応じて様々な状況があるので、同じ人に対しても使い分ける必要があると言えることでしょう。特に認知症の場合は、時には小さい子供に対するように厳しく接しなければいけないケースもあるので、柔軟な対応が求められます。但し、原則としては健常者の大人として尊重すべきで、常に子供のように扱うことは避けるべきです。即ち、介護の仕事ができる人の考え方としては、こうした柔軟性と原則のバランスを取ることが大事になると言えます。
大切なのはテクニックではなく、相手を人間として尊重することで、表面の「認知症」という症状に捉われないことです。それは、人を外見で判断してはいけないことに似ており、みすぼらしい格好をしているからといって、その人が劣っている人にならないのと同様です。認知症の人を通して介護士自らが試されているとも言えるわけで、人を人として尊重できるようになることが何よりも重要となります。これは、教科書やマニュアルでは決して分からないことで、現場で経験を積むしかありません。その中で、多くの失敗をして先輩からも叱責され、学んでいくものなのです。